胡弓の弓の製作

弓郡2.jpg右から二番目は義太夫用の104cmの弓、三番目は地歌用に毛数を多くして張りを緩やかにした弓、中央の非常に小さな2本の弓は雛胡弓用の弓で、特に最小の弓は篤姫の雛胡弓の弓を再現したものです。その右の4本は、胡弓用・沖縄胡弓用・玲琴用弓笛です、右端が越中おわら節ようの小型で毛数が少ない弓です。すべて、バランスをとってあります。

バランス.jpgこれまでに40本ほど弓を製作してきました。毛を張る前に、握っただけで、弾きやすい弓かどうか、弓の重臣のバランスが分かるようになりました。

今回、弓本体を演奏時の位置で握り、大体のバランスがわかるようになりました。

握り比較1.jpg従来の弓は、毛元の握りの部分が、細い紐で弓本体と結んであります。これにたいして、石田音人が試みたのは、太目の組みひもを使い、毛元に四重、握りの部分に弓本体との渡し部分を作り、弓本体との一体感を強めました。これによって、弓本体の竹のばねが直接、毛の部分に伝わり、さらに、右手の握りのコントロールがやりやすくなり、弓本体の竹のばねも右手に直に感じて、演奏できるようになりました。しっかりと、弓の竹のばねを感じて、太い音も出すことができます。

持参の一般的な弓です。おわらの伯育男様製作の弓は、日本の弓の最高作品といえます。他の弓にも弓のバランスや竹のばねなど応用することができます。また、故横井みつゑ伝承の弓も、竹の二枚あわせで、竹のばねの効果を利用できる作品です。



比較先端.jpg先端も、同様です。これまではヒートンの先に、毛先端のリングを掛ける方法がほとんどでした。これは、一点接続で、本体の竹のばねを一点のみで伝えるため、竹のばねの一部しか伝わりません。音人は、本体先端に、直接毛先のリングを掛ける方法を生み出しました。これによって、本体の竹のばねのエネルギーがダイレクトに伝わるようになりました。

右の持参の弓は一枚の竹を利用したもので、曲がりの部分も肉厚で、竹のばねを利用することができません。

曲げ.jpg二枚の竹を、平行に並べ、ハンダこてで熱して、曲げて行きます。この二枚の間借り具合が、こうすることによって、類似した曲線を描き、この二枚の張りあわせがうまくいくのです。

接着.jpg接着剤を塗り、タコ糸で何十にも巻いて、接着します。

開始.jpgこうして、二枚張り合わせの先端が出来ます。 比較先端2.jpgこのオリジナル弓は、従来の弓と比べて、重心のバランスがとれており、先端も、竹の二枚あわせで、竹のばねが利きやすく、毛元も先端も弓本体にしっかり接続してあり、優秀な弓です。従来の弓よりも先端は細いにもかかわらず、竹の二枚張り合わせによる腰があります。石田音人胡弓教室の生徒に、製作しております。一般でも、依頼製作いたします。

従来弓先端.jpg

従来弓先端2.jpg持参の一般的な弓は先端の幅約7mm、これだけ厚み、幅があると、竹のしなやかなばねを利かすことが、難しくなります。ただし、おわらの伯育男製作または、伯様伝承のおわらの弓は、最高に仕上がっています。名古屋胡弓の、横井みつえ伝承の弓も同様に竹の二枚合わせのものでした。

仕上げ先端.jpg入門用との比較です。 比較先端3.jpg持参の一般弓との比較です。

比較先端4.jpg持参の一般弓との比較です。

画像-0006.jpg色を塗って完成手前です。
仕上げ先端3.jpg生徒用ではなく、演奏家用の、先端の竹をぎりぎりまで、細くして、竹のしなりを高度に利用する、弓の仕上げに入ります。 削り後縦.jpg約3mっまで、絞り込みます。

削り後.jpg背の部分も3mmまで細くします。箸よりも細いくらいです。

仕上げ先端2.jpgさらに、曲がりの上下も細く削ります。しかし曲がりの部分よりも、細くしないのが原則です。また曲がりのブ部に近づくにつれて細くするのがポイントです。